ヤクルトナインが語る「黒田博樹ツーシーム体験記」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Sportiva

 日本球界復帰初登板となった3月30日のヤクルト戦で、黒田博樹(広島)は7回を5安打、無失点に抑える好投を見せ、勝利を飾った。投球の半分近くを占めたツーシームが冴え、21個のアウトのうちゴロアウトは12個を数えた。対戦したヤクルトナインは、黒田のピッチングをどう感じたのだろうか。

日本球界復帰初登板を白星で飾った黒田博樹日本球界復帰初登板を白星で飾った黒田博樹

畠山和洋

「ボールが速くて、キレも良かった。でも、『これは打てません』という球はありませんでした。コントロール、特にカウント球として使っていたアウトコースのボールの精度が高かった。黒田さんはシュートというか、ツーシームが多いので、どうしてもアウトコースの意識が他のピッチャーの時より薄れてしまうんです。そこにカウント球としてアウトコースでストライクをポンポンと取られてしまうと、今度はインコースへの意識を100%にするのが難しくなる。結局、両サイドに揺さぶりをかけられて、打者有利のカウントを作らせないピッチングをされました。投球術にやられましたね」

―― 黒田投手の投球スタイルを見て、メジャー的だと感じる部分はありましたか。

「ツーシーム主体でボールを動かすという意味ではメジャー的だと思います。純粋な真っすぐはほとんどなく、小さい変化で勝負する印象がありました。もちろん大きく曲がる変化球もありますが、ベースとなるのは小さく変化する球です。全体としてはメジャー的なのですが、コントロールの精度の高さは日本的。両方のいいところを持っていますよね」

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