育ての親が語る「内川聖一と山田哲人、7つの共通点」

  • 吉村大祐(サンケイスポーツ)●文 text by Yoshimura Daisuke
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 昨シーズン、日本人の右打者としてシーズン最多となる193安打を放ったヤクルトの山田哲人。その山田のバッティングを作り上げたのが、一軍チーフ打撃コーチの杉村繁だ。杉村は山田以外にもこれまで多くの好打者を育ててきたが、なかでも有名なのがソフトバンクの内川聖一である。

昨シーズン、193安打を放ち大ブレイクしたヤクルト・山田哲人昨シーズン、193安打を放ち大ブレイクしたヤクルト・山田哲人

 内川との出会いは、杉村が横浜(現・DeNA)の一、二軍巡回打撃コーチを務めていた2008年から。出会った時、内川はまだレギュラーではなかったが、主力選手の不振により、出場機会を得ることになった。杉村が振り返る。

「当時は佐伯(貴弘)が一塁を守っていたんだけど、開幕してからバッティングの状態がどん底で、上がってくる気配がなかった。そこで、外野手だった内川を思い切って一塁で使うことになったんです」

 一軍の試合に出るようになった内川を待っていたのは、過酷なバッティング練習の日々だった。ホームゲームの時は、杉村コーチとティーバッティングを20分間行ない、さらに波留敏夫コーチに投げてもらって30分間の打撃練習。この計50分間の打ち込みを全体練習前にこなしていた。

 その成果はすぐに結果となって表れた。4月に打率.422をマークすると、5月も.375と高打率を残し、一躍注目の的となった。

「とにかく強くスイングすることを意識させました。詰まってもいいから、思い切り振れと。それだけでした」

 その後も内川の調子は落ちることなく、8月は打率.449で月間MVPを獲得。結果的に、右打者として歴代最高の打率.378を記録し、初の首位打者を獲得した。以来、昨年まで7年連続打率3割をマーク。

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