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西岡剛「今の心境はPL学園に行けなかった時に似ている」 (3ページ目)

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「若い選手はレギュラーを獲るために、自分を追い込んで練習していますよね。ケガするかしないか、という紙一重のところで。僕も今、そういう若い選手の立場や気持ちと一緒なんです。もしケガをしても、それが僕の人生やと思って……」

 プロ入り後、レギュラーを獲るために死に物狂いで練習したあの頃と同じ……いや、一度手にしたレギュラーの座を誰かに奪われ、それを取り戻しに行くのは初めての経験。当時よりもさらに自分を追い込んでいるかもしれない。西岡に言わせれば、それは「意地」ということになる。

 大阪桐蔭高校からドラフト1巡目でロッテに入団し、3年目の2005年にレギュラー定着。盗塁王にも輝き、翌2006年には第1回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日の丸を背負って世界一に貢献した。シーズンでは2年連続盗塁王。キャプテンを務めた2010年には首位打者と最多安打のタイトルを獲得する活躍でチームを日本一に導き、ポスティング・システムでメジャー・リーグに挑戦した。その間、ベストナインとゴールデングラブ賞をダブル受賞すること3度。日本球界を代表する選手へと成長していった。

 こう書くと、順風満帆な野球人生に見える。しかし、まだ多感だった十代半ば、西岡は大きな挫折を経験している。小学4年生の時から憧れ続け、そのユニフォームを着て甲子園に出場することを夢見ていたPL学園高校野球部に「必要とされなかった」のだ。同校のスカウトから「ウチでは試合に出られませんね」と、シニアチームの監督を通じで聞かされた。

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