10勝も現実味。楽天・松井裕樹「2年目の進化」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「松井にとって安樂が入団したことは大きいと思います。自分と同じ甲子園のスターがやって来た。先輩として『負けられない』という気持ちが、ピッチングにも表れているように感じました。先輩として、実に堂々としていた」(山﨑氏)

 そして甲子園のスターつながりといえば、このオフ、松井は自主トレで田中将大(ヤンキース)と一緒に汗を流した。このことについても山﨑氏は大きなプラスになったという。

「スプリットを教えてもらったとかという技術的なことじゃなくて、田中将大という投手を間近で見ることができた。田中がしていることと自分がしていることを照らし合わせてみると、いろんな発見があったと思うんです。この経験は今シーズンきっと生きてくるはずです」

 昨年、松井は27試合に登板(先発は17試合)し、4勝8敗、防御率3.80。116イニングを投げ120奪三振と能力の高さを証明したが、与四死球75と制球力に苦しんだ。

「僕は7勝すると予想していたんですが、結局、4勝止まりでした。ただ、三振の数は投球回を上回っていました。三振を取れるのは投手として才能がある証拠。力のある投手であること証明しましたよね。松井は、真っすぐとスライダー、チェンジアップをコントロールできればそれで十分なんですから」(山﨑氏)

 5月に二軍落ちした松井だったが、6月に再昇格。そして中継ぎを経て先発に復帰。すると、シーズン序盤で見せた不安定さは消え、ストライク先行のピッチングを披露。シーズン最終登板となった10月5日の日本ハム戦では8回を投げ、被安打4、与四球1、失点1という見事な投球を見せた。再び山﨑氏が言う。

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