野村亮介&浜田智博のルーキーコンビが中日投手陣を救う!

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by AFLO

 中日のルーキーで、一軍キャンプに参加している野村亮介(ドラフト1位)と浜田智博(ドラフト2位)の両投手。実は、このふたりが今年のセ・リーグの新人王を争うのではないかと思っている。

 拙誌『野球人』の「流しのブルペンキャッチャー」という企画で、このふたりの球を受けたことがある()。彼らのピッチングに以前から興味を持ち、ずっと捕ってみたいと思っていたのだ。ともに打者を威圧するような球速があるわけではないが、なかなか打たれない。
※安倍昌彦氏はかつて早稲田大野球部でキャッチャーをしていた経験を持つ

タイミングの取りづらい変則的な投げ方が持ち味の浜田智博タイミングの取りづらい変則的な投げ方が持ち味の浜田智博

 野村には、プロの一軍でも即通用する精緻な制球技術がある。187センチの長身から投げ下ろして、両サイド低めに構えたミットを外れたのは、40球のうちわずか3球だけ。その上、140キロ前半のストレートと同じ腕の振りからスライダーとフォークを投げ込んでくる。正直、これは見極めがつかない。

 静岡・静清高時代、3年春のセンバツで日大三高のエース・吉永健太朗(現・早稲田大)に真っ向勝負を挑み、敗れはしたがピッチングの内容では負けていなかった。その後、社会人野球の三菱日立パワーシステムズに進むと、持ち前の制球力に磨きがかかり、走者は許しても得点を許さない抜群の安定感を身に付けた。

 一方の浜田は、"バンザイ投法"と言われているように、変則投法が持ち味のサウスポーだ。ボールを持つ左手のテイクバックが短く、すぐにトップの位置にくる。同時にグラブを持つ右手も左手と平行に上がるため、このような名前が付けられた。その投げ方から右打者のインコースに食い込むクロスファイア-を中心に、スライダー、カーブ、フォークを駆使したピッチングを身上としている。

 そして、このフォームの最大の特長はタイミングの取りづらさだ。いったんグラブの中にセットしたボールは、トップの位置になっても頭の後ろに隠れたままで、リリースの瞬間、耳のあたりから急に飛び出してくる感じだ。とにかく、見にくい。

 ボールを受けた時も何度かミットを出すのが遅れた。フォーム全体を見ていたら絶対に遅れてしまう。リリースポイントとおぼしきあたりの一点をじっと見つめて、それでやっと間に合う。

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