2年連続2ケタ勝利も阪神・藤浪晋太郎が喜べないワケ

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 25試合登板、投球回数163回、11勝8敗、防御率3.53。阪神・藤浪晋太郎のプロ2年目の成績だ。オールスター前までに7勝をマークしていたことを思えば、もう少し勝ち星を伸ばしたいところだったが、高卒投手のルーキーイヤーから2年連続2ケタ勝利は2000年の西武・松坂大輔以来。セ・リーグでは1968年の阪神・江夏豊以来、実に46年ぶりの快挙だったのだから、やはりこの男はただものではない。

ルーキーイヤーから2年連続2ケタ勝利を挙げた藤浪晋太郎ルーキーイヤーから2年連続2ケタ勝利を挙げた藤浪晋太郎

「10勝といっても、自分で勝ち取った10勝ではないので......。来年は胸を張って『10勝しました』と言えるようにしたいです」

 昨年の10月5日、レギュラーシーズン最終戦となった巨人戦(甲子園)で10勝目をマークした藤浪は、そう言っていた。野手に点を取ってもらい、「勝たせてもらった」と感じる試合が多かったからだ。

 それから1年。今年の9月19日、中日戦(甲子園)で2年連続となる10勝を挙げると、ルーキーイヤーの10勝との違いを尋ねられた藤浪は、「投げているイニング数は違うと思いますけど」と前置きした上でこう語った。

「今年も点を取ってもらって勝った試合が多い。野手の方に援護してもらって、楽な展開で投げさせてもらっているので」

 前年同様、反省の言葉を口にした藤浪。さらに、「もっと勝てたと思います。取りこぼしが多いので、もったいないと思っています」とも語った。

 この時の藤浪は無表情だった。節目の2ケタ勝利を喜ぶでもなく、ただ淡々と答えていた。周囲の期待に応えられたかどうかは問題ではない。自分自身の投球内容に納得がいかないから、その気持ちを素直に口にしただけだ。

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