ホークスOB・斉藤和巳が語る「3年ぶりVの立役者」 (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●構成 text by Tajiri Kotaro
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 そんな中、成長した姿を見せてくれたのが柳田悠岐(打率.317、15本塁打、70打点)と中村晃(打率.308、4本塁打、61打点)です。彼らは常時試合に出て、大きな波もなかった。特に中村は、相手投手にとって本当に嫌な存在だったと思います。選球眼がよく、際どい球はカットできる技術がある。弱点がないから、ピッチャーはどこに投げていいのかわからない。残した数字も立派ですが、それ以上の存在感がありました。

 そして今年のソフトバンクを見て感じたのは、例年以上の選手層の厚さです。打線でいうと、内川聖一、松田宣浩、本多雄一、長谷川勇也といったチームの中心選手がそれぞれ1カ月を超える離脱がありましたが、吉村裕基や明石健志といった控えの選手たちが、彼らの穴を見事に埋めてくれました。主力が抜けると、チーム力がガクンと落ちることがありますが、控え選手が高いパフォーマンスを発揮してくれたおかげで主力が離脱しても普段通りの戦いをすることができた。総合力の勝利だったと思います。

 MVPですか? 正直、ひとりに絞るのは難しいですね。1年を通して頑張ったとなれば……投手では五十嵐とサファテ。野手では中村、柳田。この4人に絞られるでしょうね。ただ、今年のソフトバンクの優勝はリリーフ陣の頑張りに尽きると思っています。その中でひとりとなると、五十嵐ですかね。シーズン終盤はやや疲れも見えましたが、1イニングのために毎日欠かさず準備をして、結果を残し続けた五十嵐の貢献度は計り知れない。リリーフ陣の活躍、そして主力の穴を埋めた控え組の働きが、ソフトバンクに3年ぶりの優勝をもたらしたと、私は思います。

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