大本命不在。混戦の「夏の甲子園」を制するのは?

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 8月9日に開幕する第96回全国高校野球選手権。昨年の甲子園を沸かせた前橋育英の高橋光成(たかはし・こうな)、済美の安樂智大(あんらく・ともひろ)が地方大会で姿を消したものの、楽しみな顔ぶれが揃った。

神奈川大会決勝で20奪三振を記録した東海大相模の吉田凌。神奈川大会決勝で20奪三振を記録した東海大相模の吉田凌。

 そんな中、最も注目を集めているのが東海大相模(神奈川)だ。神奈川大会決勝では背番号11の右腕・吉田凌(2年/右投右打)が縦のスライダーを武器に20奪三振を記録。さらに、エースの青島凌也(3年/右投右打)、左腕の小笠原慎之介(2年/左投左打)、190センチの佐藤雄偉知(さとう・ゆういち/3年/右投右打)を加えた投手陣は、全員が140キロ台中盤をマークするなど、質、量ともに群を抜いている。一方の打線も、神奈川大会でともに3本塁打を放った杉崎成輝(2年/内野手/右投左打)、豊田寛(2年/外野手/右投右打)を筆頭に、大会タイ記録となる11本塁打をマーク。その東海大相模は初戦で150キロ右腕・松本裕樹(3年/右投左打)擁する盛岡大付と対戦する。ここで弾みをつけることができれば、1970年以来となる選手権制覇も現実味を帯びてくる。

 この東海大相模と同じく好素材の選手が集まるのが九州国際大付(福岡)。主将で強肩捕手の清水優心(しみず・ゆうし/3年/右投右打)は今秋のドラフトで指名確実と言われている逸材。185センチ、88キロのがっしりした体から放たれる打球は高校生離れしている。また、福岡大会で2本塁打を放った古沢勝吾(3年/内野手/右投右打)もプロ注目の選手。ライトからレフトへ浜風が吹く甲子園は右打者有利と言われているだけに、ふたりにかかる期待は大きい。この夏を最後に勇退する若生正広監督の花道を飾れるか注目だ。

 打線の破壊力なら大阪桐蔭(大阪)も負けていない。昨年からレギュラーの峯本匠(3年/内野手/右投左打)、香月一也(3年/内野手/右投左打)に、大阪大会で3本塁打を放った4番の正随優弥(しょうずい・ゆうや/3年/外野手/右投右打)を中心に8試合で10本塁打を含む99安打を放ち、67得点を挙げた。投手陣も左の田中誠也(2年/左投左打)、右の福島孝輔(3年/右投左打)と二枚揃っている。エース・藤浪晋太郎(現・阪神)を擁し春夏連覇を達成した2012年以来の全国制覇を狙う。

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