後半戦のキーマン!? あの斎藤佑樹が戻ってきた

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Nikkan sports

 見ていて、恐れ入った。

 マウンドの彼が、こちらのイメージを越えてきたからだ。

 7月12日、ファイターズとホークスの一戦。

 入場者全員に限定ユニフォームがプレゼントされる特別な3連戦。見渡す限り空席がひとつも見えない、本当の超満員となった札幌ドームのマウンドへ、3カ月ぶりに斎藤佑樹が戻ってきた。

7月12日のホークス戦で5回1失点と好投した斎藤佑樹。7月12日のホークス戦で5回1失点と好投した斎藤佑樹。

 この3カ月、斎藤がファームで作り上げてきたピッチングスタイルを思えば、見る側としては、彼がストレートを軸に、ストライクゾーンで勝負する――そのスタイルをどこまで貫けるかというところが分岐点だというイメージを持っていた。ところが彼は、そのさらに上を行った。

 ストレートを、ストライクゾーンの、インコースへ投げて勝負してきたのである。

 最初におやっと思ったのは、ホークスのトップバッター、中村晃が左のバッターボックスに入った直後だった。ここのところ、ずっとプレートの三塁側を踏んでいた斎藤が、右足をプレートのど真ん中に置いて、セットしている。そして1球目、2球目、斎藤はプレートの真ん中を踏んで、ストレートを投げ込んだ。そうか、今日はプレートの真ん中を使うのか......そう思った。つまりこの時点で、斎藤の意図を汲み取ることはできていなかった。なぜならこれまでにも斎藤は、自らの状態を確かめたいとき、プレートの真ん中を踏んで投げることがあったからだ。

 ところが、えっと驚かされたのは、2番の今宮健太が右のバッターボックスに入った時のことだ。斎藤が、三塁側のプレートを踏んでいるではないか。

 どういうことだろう。やっぱり今まで通り、三塁側を踏むのか。

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