セ界の好打者たちが語った「藤浪晋太郎の成長度」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 阪神・藤浪晋太郎は7月15日現在、15試合で先発登板して7勝4敗、防御率3.40という成績を残している。奪った三振はリーグ2位の98個(昨年は24試合に登板して10勝6敗、防御率2.75、奪三振126)。同級生のライバル・大谷翔平(日本ハム)がものすごいスピードで成長する姿を見せられると、今シーズンの藤浪の活躍は平凡に映ってしまうかもしれない。それでも開幕からローテーションを守り、7イニング以上投げた試合は9試合。7月15日の試合で今季初完投するなど、先発としての役割は十分果たしていると言える。では、セ・リーグの打者たちは"2年目の藤浪"をどう見ているのだろうか?

前半戦で7勝をマークした藤浪晋太郎。前半戦で7勝をマークした藤浪晋太郎。

 現在、リーグトップのチーム打率を誇るヤクルトは、7月1日に藤浪と今季初対戦。試合には敗れたが、6回までに10安打を放ち6点を奪った。ヤクルトの杉村繁バッティングコーチは言う。

「6点しか取れなかったからね(笑)。まあ、それは冗談として、藤浪には3つの大きな武器があります。ひとつはインステップ。そして長身であること。最後にボールの角度です。それに加え、真っすぐは動くし、カットボールも140キロを超す。普通では考えられませんよ。何と言えばいいのかな......外国人の投手と対戦している感じですね」

 そして「あえてあらを探せば......」と前置きした上で、こんな話をしてくれた。

「敵として、つけ込む余地はあります。まず、コントロールが甘い。そして球種が少ない。印象として、真っすぐとカットボールとフォークしか使っていない感じがします。カーブもあるようだけど、この前の試合ではほとんど投げなかった。真っすぐとカットボールでは緩急がつきません。打者が嫌がるのは緩急ですから。とはいえ、順調に成長すれば何十年にひとりのピッチャーだよね。タフで物怖じせず、精神的に強い。それにマウンドさばきも素晴らしいですよ。偉ぶらず、ひたむきだし、敵だけど、彼のようなピッチャーは大成してほしいと思います。成長が止まっているとか言われているみたいだけど、ここまで6勝しているんでしょ。10勝はするだろうし、間違いなくこれからの球界を背負って立つ投手ですよ」

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