最弱投手陣のヤクルトが後半戦の台風の目に!

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 攻撃は最大の防御なり――まさにこの言葉通り、今年のヤクルトはリーグ最強打線を武器に戦っている。ヤクルト打線については6月6日に配信したこちらの記事12球団最強。ヤクルト打線を変貌させた「秘密練習」を見てもらいたいのだが、これだけの強力打線を擁しているにもかかわらず、6月14日現在、25勝33敗2分でセ・リーグ5位に甘んじている。ここで、ここまでのヤクルト投手陣の成績を見てみたい。

小川泰弘、館山昌平不在の中、ヤクルト投手陣を牽引する石川雅規。小川泰弘、館山昌平不在の中、ヤクルト投手陣を牽引する石川雅規。

防御率4.87(リーグ6位/12球団中ワースト)
失点309(リーグ6位/12球団中ワースト)
被安打591(リーグ6位/12球団中ワースト)
与四球222(リーグ5位/12球団中11位)

 これを見れば、チーム低迷の理由が投手陣にあることは明白だ。特に開幕してから1カ月は先発、リリーフともに精彩を欠き、失点を繰り返した。たとえば、4月6日の阪神戦(神宮球場)の試合を振り返ってみたい。

 ヤクルトは先発の中澤雅人が1回2/3を3安打、4四球、2失点で降板。あとを継いだ押本健彦と村中恭平のふたりが3回1/3を無失点に抑える好投を見せ、5回を終わってヤクルトが4点のリードを奪っていた。しかし、6回から登板した投手が次々と打たれ、4イニングで16安打を浴び、13点を失った。この試合、7人の投手が登板したが、最長イニングは村中の2回。まさに、シーズン序盤のヤクルトを象徴するような試合だった。

 その後も、打線がいくら得点しても投手陣が踏ん張りきれない試合が続き、4月16日の巨人戦から9連敗。その間、許した失点は59(1試合平均6.6失点)。ベテランの石川雅規は「どうにもならない状態でした」と当時を振り返った。

「どうしても負けが込むと、投手陣に余裕がなくなってきます。失点してはいけないと、厳しいコースに投げようとするけど、制球力がないからフォアボールが増える。今度はフォアボールを避けようとして、ストライクゾーンに投げるが甘いところに入ってしまい打たれる。そういう負の連鎖が投手陣に伝染し、大量失点してしまった感じがします」

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