今、松井裕樹に伝えたい「チェンジアップ多投の危険性」

  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

吉井理人の投究論 第12回

ここまで3試合に登板して、いまだ勝ち星のない楽天・松井裕樹。ここまで3試合に登板して、いまだ勝ち星のない楽天・松井裕樹。

 楽天のゴールデンルーキー・松井裕樹がここまで3試合に登板して0勝3敗、防御率5.02と苦しんでいます。オープン戦での結果(※)からすると、もっと活躍してもいいのでは......と思う人も多いのではないでしょうか。
※4試合、16イニングを投げ、被安打10、失点2、奪三振17、防御率1.13

 確かに、これまで松井が対戦したのは、オリックス(4月2日)やソフトバンク(4月16日)といった調子のいいチームでした。それに4月9日の日本ハム戦は初めてとなる札幌ドームでのピッチング。松井にとっては厳しいマウンドだったと思います。

 じつは、札幌ドームのマウンドというのは、12球団の本拠地の中でいちばん硬く、慣れるまでに時間を要します。というのも、札幌ドームのマウンドはメジャーの粘土質の硬さとは違い、空気が乾燥することで硬くなるんです。そのため、スパイクの歯が刺さらず、はね返ってきます。言ってみれば、コンクリートの上で投げているようなもので、バランスを崩すピッチャーが意外と多いんです。

 おそらく松井も、初めてとなる札幌ドームのマウンドで多少なりとも戸惑った部分はあったと思います。下半身を安定させるのが難しいから、上体だけで投げてしまう。そのためリリースが安定せず、腕の振りも鈍くなっていった。3回から急にスピードがなくなったのは、それらの理由が大きいと思います。

 ただ、これまでの松井のピッチングを見ていて、いちばん気になっているのが変化球の多さです。特にチェンジアップに頼りすぎたピッチングになっている印象を受けます。オープン戦でのピッチングを見ると、松井のチェンジアップというのはカウント球にもなりますし、勝負球としても使えます。そのチェンジアップがオープン戦では面白いように決まり、本人もかなり自信を深めたと思います。

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