【高校野球】センバツ開幕。主役不在もニュースター誕生の予感あり (2ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 このふたりと並び、知名度、注目度ともに抜群なのが横浜の浅間大基、高濱祐仁だ。昨夏の神奈川県大会で桐光学園のエース・松井裕樹(現・楽天)からこのふたりが一発を放ったのは記憶に新しいところ。関東大会ベスト8ながらセンバツに選出されたのはふたりの存在があったからといっても過言ではない。それだけ全国のファンに見たいと思わせる選手だ。

 関東大会で対戦した佐野日大の田嶋に「威圧感がすごかった」と言わせた浅間。昨秋まで高校通算本塁打は22本。内角打ちのうまさに加え、一塁到達4秒0台の俊足、さらに強肩と三拍子揃う上に、「野球を始めた時からプロになるためにやってきた」と意識も高い。冬場に左鎖骨を疲労骨折したのは気がかりだが、大舞台でどんなバッティングを披露するのか楽しみだ。

 ロッテの内野手としてプレイする卓也を兄に持つ高濱は、1年春から4番に座るなど大きな期待を背負ってきた。高校通算23本塁打。昨年夏の甲子園でも初戦の丸亀戦でレフトスタンドに一発を放り込んだ。だがその後は、一発を狙うあまりバッティングを崩し、9打数1安打。昨秋も徹底した内角攻めにあっさりと凡退する打席が目立つなど、まだ潜在能力を出し切れていない。右のスラッガーでありながら、外の変化球を軽打して安打にできる才能を持ち合わせているだけに、センバツで本来の力を発揮できるのか注目だ。

 そしてこの4人に続くのが、投打で注目を集める日本文理(新潟)の飯塚悟史と明徳義塾(高知)の岸潤一郎のふたり。186センチ、83キロの飯塚は、昨秋の明治神宮大会決勝の沖縄尚学戦でセンターバックスクリーンを越える特大の一発を含む2本塁打。大会3本塁打の圧倒的パワーで度肝を抜いた。

 北信越大会までは軸足に重心を残すフォームだったが、神宮大会からは前足を軸に変えて開眼。「前で打つようにしたら、面白いように打てるようになりました」と本人も手応えをつかんだ。神宮の活躍で強打者として注目されるが、本人の意識はあくまでもピッチャー。2年春に腰を痛めたことでフォームを崩し、昨夏の甲子園では3番・ファーストでスタメン出場。救援でマウンドに登ったが、「夏のフォームはめちゃくちゃひどいので人に見せられないぐらい恥ずかしい」。この冬はかつぐようになっていたテークバックの修正などに時間を注いできた。投手としてもアピールできるか注目だ。

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