「今年こそAクラス」。ベイスターズファンは信じている

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

 沖縄県宜野湾市民球場。横浜DeNAベイスターズのキャンプ地は夢と希望に満ちていた。ベイスターズは昨年、6年ぶりに最下位を脱出。オフにはFAで阪神の久保康友と、メジャーで4年間プレイした高橋尚成のふたりの投手を補強し、リーグ最低の防御率だった投手陣の立て直しを図った。さらに攻撃陣も、オリックスからバルディリスを獲得。昨シーズン、チーム打率トップだった打線はより強力なものとなった。多くのファンが、「今年は本当に違う」と胸躍るのも無理はない。

選手たちに檄を飛ばす中畑清監督。選手たちに檄を飛ばす中畑清監督。

 紅白戦が行なわれた2月11日は祝日ということもあり、地元の人々や少年野球チームの一団、熱烈なベイスターズファンなど、2500人もの人が集まった。

「あの人たちも関東から来られた熱心なファンですよ。横浜スタジアムで先着入場者に配っていた限定のユニフォームを着ていますから。ほら、あそことあそこも」

 浅草から来られた茂田さん(女性)は、向こうの観客席を指差しながらそう語った。もちろん、茂田さんもその限定ユニフォームに袖を通していた。

―― 今年のキャンプを見て、率直な気持ちを教えてください。

「この季節、ベイスターズファンは誰だって『今年こそ優勝だ!』って信じています。開幕直後には『来年こそ』ってなるんですけど......。去年は(16年ぶりAクラス入りを果たした)広島カープファンをちょっと羨ましく思いましたが、まずはクライマックス・シリーズとかじゃなくて、目指すのは優勝ですよ」

 一緒に観戦していた岩下さん(44歳/男性)は期待できる若手が多いことが嬉しいと言った。

「二軍から一軍にキャンプに上がってきた乙坂智(20歳/外野手)は、若手注目ナンバーワンの選手です。乙坂が出てくれば、外野は荒波翔、梶谷隆幸、多村仁志、金城龍彦などで競争になるし、それがチームの底上げになる。最近では、阪神や日本ハムもそうじゃないですか。若手が台頭してチームが強くなる。今年のベイスターズにはそんな雰囲気があります」

 隣にいた茂田さんも、「乙坂はハマのイチローと呼ばれ、熱い男だし顔もいい」と笑った。

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