スーパーエースへ。藤浪晋太郎は昨年より進化しているのか?
2月1日から始まった春季キャンプは、まだ3分の1を終えたばかりだが、阪神の2年目右腕・藤浪晋太郎の評判がすこぶるいい。
キャンプ初日から捕手を座らせてのピッチングを行なった藤浪晋太郎。
藤浪はキャンプ初日からブルペン入りし、捕手を座らせて熱のこもった49球を披露すると、2日後には早くもチームスタッフを打席に立たせて47球、2月5日にも49球を投げ込んだ。シーズンオフに中西清起投手コーチから、「2月1日には捕手を座らせて投げられるように」の指令を受けていたとはいえ、初日からストレートに加え、カットボールやスライダー、フォークなど持ち球の変化球をすべて交え、小気味よい捕球音を響かせた。偵察に訪れていたセ・リーグ某球団のスコアラーは、警戒心を強めてこう語る。
「間違いなくボールの質は、今年の方がいい。体に厚みが出てきたし、実際、ボールにも重さが出てきた。あのスピードに重さが加われば、簡単に前に飛ばすのは難しい。それによって大胆なピッチングができるようになると思う。明らかに成長している」
昨季の藤浪は開幕から先発ローテーション入りを果たし、規定投球回には満たなかったものの、10勝6敗、防御率2.75の成績を挙げた。セ・リーグの高卒ルーキーとしては、1967年の江夏豊以来、実に46年ぶりとなる2ケタ勝利だった。
大阪桐蔭高時代に甲子園で春夏連覇を達成した才能をプロ1年目から存分に発揮したわけだが、藤浪に慢心はない。シーズン終了後から「足りない部分をひとつずつ補っていけるように」と、さらなる成長に向けて課題に取り組んできた。
そのひとつが体力強化だ。昨季は4月に3勝をマークしたが、交流戦のあった5月は1勝、6月は4試合に登板したが未勝利。8月に4勝を挙げて月間MVPを獲得するなど盛り返したが、勝ち星を2ケタに乗せた後は5試合に先発し0勝2敗と浮き沈みの多いシーズンだった。その反省を生かし、藤浪が課題に挙げたのが、シーズンを通してコンスタントに戦い抜ける体力作りだった。オフの間、徹底してウエイトトレーニングに励んだ結果、体力的な成長はもちろん、球速や球の重さも手にすることになった。
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