ソフトバンク・東浜巨が誓う「2年目の逆襲」

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

2014年注目のアスリートたち(3)

 新たな年を迎え、ルーキーたちが入寮や合同自主トレの開始などで野球メディアを賑わせている。昨年の今頃、話題性では大谷翔平(日本ハム)や藤波晋太郎(阪神)には及ばないものの、「実力では間違いなくナンバーワン」と評された右腕がいた。ソフトバンクの東浜巨(ひがしはま・なお)である。

「今は騒がれなくてもいいです。結果を出してから注目されたいので......」

昨シーズン、3勝に終わったソフトバンクのドラフト1位ルーキー・東浜巨昨シーズン、3勝に終わったソフトバンクのドラフト1位ルーキー・東浜巨

 当時、溢れんばかりの自信をのぞかせていた東浜。沖縄尚学高ではセンバツ甲子園で優勝。亜細亜大に進学後も東都大学リーグ通算35勝を挙げ、リーグ新記録の22完封、420奪三振を記録するなど、これ以上ない実績を積み上げてのプロ入りだった。ある週刊誌では球界OB30名にアンケートを行なったところ、7割の21名が「1年目から2ケタ以上勝つ」と、東浜に太鼓判を押していた。

 だがシーズン終了後、これまで最も縁がなかった言葉を口にすることになろうとは――。

「挫折を味わった1年でした」

 調整遅れから開幕ローテーション入りを逃し、4月12日のオリックス戦(ヤフオクドーム)でデビュー先発するも、初回に満塁本塁打を浴びるなどして6失点ノックアウト。続く登板でも打ち込まれると、以降は長いファーム暮らしとなった。

 二軍本拠地の雁の巣球場で特別メニューが組まれ、連日のように汗を流す東浜の姿があった。走って、投げ込んで、また走る。練習量は誰よりも多かった。一方で、登板するのは10日に一度。1カ月近く実戦から遠ざかった時期もあった。いわゆる、プロ野球で通用するための体力作りに励んでいたのだ。その姿はまるで高卒ルーキーのようだった。

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