過去10年、ドラフト1位指名選手のチーム貢献度

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva photo by Nikkan sports

 10月24日に行なわれた今年のドラフト会議も、大いに盛り上がった。甲子園を沸かせた松井裕樹(桐光学園高)は5球団競合の末に楽天、3球団が名乗りを挙げた大学屈指の右腕・大瀬良大地(九州共立大)は広島、そして191センチの本格派・吉田一将(JR東日本)はオリックスの一本釣りと、高校生から社会人まで、さまざまな世代の若手有望株がドラフト1位に指名された。

5球団からドラフト1位指名を受けた松井裕樹。抽選の結果、楽天が交渉権を獲得した5球団からドラフト1位指名を受けた松井裕樹。抽選の結果、楽天が交渉権を獲得した 球団の期待を一身に背負った彼らが今後、どんな活躍を見せるのか、それは誰にも予測不可能だ。ただ、過去のドラフトの歴史を紐(ひも)解けば、意外なことが発見できるかもしれない。そこで今回は、過去10年のドラフト1位指名選手にスポットを当ててみた。もちろんドラフトは、1位指名選手だけを重要視するものではない。下位で指名した無名選手が一流プレイヤーとなりうることも、歴史が証明している。しかし、「誰をドラフト1位で指名するのか」という選択が、そのチームのビジョンを表しているのは間違いない。いつの世も、ドラフト1位指名選手というのは、球団の「未来」を託されているのだ。そんなチームの要となるため、1位指名で入団した彼らがどのくらい活躍したのか、過去10年を振り返ってみた。

※成績と実働年数はドラフト指名球団で残した通算記録※成績と実働年数はドラフト指名球団で残した通算記録※成績と実働年数はドラフト指名球団で残した通算記録※成績と実働年数はドラフト指名球団で残した通算記録※成績と実働年数はドラフト指名球団で残した通算記録※成績と実働年数はドラフト指名球団で残した通算記録 まず、セ・リーグのドラフト1位指名選手のリストを見て、意外だったのが巨人だ(※リスト内の実働年数と成績はドラフト指名球団で残した通算記録)。毎年ドラフト会議の話題の中心となる巨人だが、6球団で唯一、1位指名ながら一軍出場のない選手が3人(2005年・辻内祟伸、2007年・村田透、2011年・松本竜也)もいる。高卒でプロ生活2年ほどの松本が一軍を経験していないのは、現在育成中という意味合いも含まれるだろう(DeNA・北方悠誠、ヤクルト・川上竜平、広島・高橋大樹も同様)。しかし、未来のエースと呼ばれた辻内、そして大卒で即戦力として期待された村田と、ふたりのドラフト1位投手が一軍を経験しないままチームを去っていった。

 ただ、巨人のドラフト1位投手は、トータルで見ると多くの勝ち星を残している。上記3名を除くドラフト1位投手6名(2003年・内海哲也、2004年・野間口貴彦、2005年・福田聡志、2006年・金刃憲人、2010年・澤村拓一、2012年・菅野智之)の巨人在籍時の通算成績は、193勝148敗・勝率.566。リーグ最多の勝利数を記録し、また多くの貯金をチームにもたらしている。

 一方、今季リーグ2位となった阪神の投手成績を見てみると、予想以上にライバル・巨人との開きが見てとれた。過去10年、ドラフト1位で投手を8名(2005年・鶴直人&岩田稔、2006年・小嶋達也、2007年・白仁田寛和、2008年・蕭一傑、2009年・ニ神一人、2010年・榎田大樹、2012年・藤浪晋太郎)指名し、挙げた勝利数は合計67勝(88敗)。勝率.432はセ・リーグ5位の成績だ。対して、リーグ1位の勝率を記録しているのは中日。過去10年のドラフト1位投手は6名(2004年・樋口龍美、2005年・吉見一起、2007・山内壮馬、2009年・岡田俊哉、2010年・大野雄大、2012年・福谷浩司)と他球団より少ないものの、109勝65敗・勝率.626と、唯一、勝率6割以上をマークしている(広島7名=130勝132敗・勝率.496、ヤクルト9名=143勝175敗・勝率.450、DeNA9名=76勝133敗・勝率.363)。

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