悲願の日本一へ。楽天が巨人を倒すための「3つの条件」

  • 山村宏樹(元楽天イーグルス)●文 text by Yamamura Hiroki

 球団創設9年目にして初のリーグ優勝を決めた勢いそのままに、クライマックスシリーズ(CS)でもロッテを破り日本シリーズ進出を果たした楽天。いよいよ巨人との大一番を迎えますが、悲願の日本一に向けて楽天はどう戦えばいいのか。ペナントレース、CSでの戦いを見てきて、私なりに分析したいと思います。

田中将大に次ぐ15勝をマークした則本昂大。日本シリーズでは起用法にも注目が集まる田中将大に次ぐ15勝をマークした則本昂大。日本シリーズでは起用法にも注目が集まる

 日本シリーズは7試合制で、先に4勝したチームが日本一になります。そこでポイントになるのが、先発投手陣の出来です。幸いなことに、楽天にはシーズン負けなしの24連勝を記録した田中将大と、ルーキーながら15勝を挙げた則本昂大という強力な二枚看板がいます。このふたりが軸になるのは間違いありませんが、最低でも「田中、則本で3勝」は挙げてもらわないと日本一は厳しいかもしれません。逆に、ふたりで3勝できれば、一気に頂点に近づくと思います。

 そこで、今シーズンのふたりの巨人戦での成績を調べて見ましたが、田中は2試合に先発して2勝、防御率0.56と完璧なピッチングをしています。一方の則本は登板なし。しかし、巨人打線にしてみれば初めての投手との対戦は嫌なものがあると思います。それに則本自身も投げるたびに安定感が増しており、状態はすごくいい。自分のピッチングさえできれば、巨人打線が相手でも十分に結果を残せるはずです。

 おそらく第1戦、第5戦に田中、第2戦、第6戦に則本が先発するでしょう。ただ、ロッテとのCSで完封勝利を収めた美馬学の調子がすごくいいので、美馬を第2戦に持ってきて、則本を第3戦にするということも十分に考えられます。東京ドームでの初戦となる第3戦は、チームに勢いをつけるという意味では大事な試合ですから。そこで安定感のある則本に託すというのは、私は「あり」だと思います。

 また、則本の第3戦というのは、リリーフ陣の負担を軽くするという意味もあります。先発投手はある程度計算できる楽天投手陣ですが、リリーフに不安を抱えています。絶対的なクローザーがいないこと、CSで左腕の長谷部康平、金刃憲人が打ち込まれたこと、そして何より心配なのが青山浩二です。

 星野監督が最も信頼を寄せている青山ですが、CSではベンチ入りしていない試合がありました。おそらくアクシデントがあったのだと思います。青山がベンチにいないとなると、相当厳しい戦いを強いられることになります。特に、敵地での試合はDH制がなく、投手も打席に入らないといけない。そのため、普段よりも投手交代は早くなり、投手も多めにつぎ込まなくてはいけない。だったら最初から継投は考えずに、完投能力のある則本に第3戦を任せる。

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