山﨑武司が語る「楽天初優勝と野村野球の遺産」

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • photo by Nikkan sports

 楽天がチーム創設9年目にして初の優勝を決めた。勝てばいろいろ勝因が出てくるものだ。エース・田中将大の投球はもちろん、今季新加入したアンドリュー・ジョーンズ、ケーシー・マギーというふたりの外国人選手の期待以上の活躍もあったし、一部では「星野チルドレン」などと呼ばれている銀次、枡田慎太郎、岡島豪郎、島内宏明など若い野手の奮闘、開幕投手に起用した新人・則本昂大の好投など、次から次と名前が挙がってくる。

優勝の瞬間、最後の打者を三振に打ち取り抱き合う田中将大と嶋基宏優勝の瞬間、最後の打者を三振に打ち取り抱き合う田中将大と嶋基宏

 しかし、衆目の一致するところ、大きかったのは田中のピッチングとそれを支えた嶋基宏のリード。チームの骨格となったふたりが最後まで揺るがなかったことが最大の勝因ではなかっただろうか。

 考えてみれば、このふたりは野村克也元監督に指導され、主力に成長した選手。2009年2位の時からすでにチームの柱だった。ということは、野村元監督の野球、いわゆる「ノムラの考え」も今年のチームに受け継がれているのではないだろうか。

 野村監督の下で、2009年のクライマックス・シリーズ(CS)進出の原動力になった山﨑武司にそのあたりの事情を聞いてみた。

「野村監督の野球はID野球だとか、配球だとか、データ収集や分析など戦術的なことばかりに注目が集まるけど、ベースになっているのは準備野球なんです」

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