松井裕樹なき甲子園。この夏、スカウトたちが見た5人の逸材

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

「今年は見たい選手が少ない」

 通常、スカウトは全出場校が登場する7日目までスタンドに陣取るが、今年に限っては開幕して数日で冒頭のような嘆きを何人ものスカウトから聞いた。

日本文理戦で2本のホームランを放った大阪桐蔭の森友哉日本文理戦で2本のホームランを放った大阪桐蔭の森友哉

 理由はふたつある。ひとつは、ドラフトの目玉である松井裕樹(桐光学園)が出ないことに加え、例年より注目選手が少ないこと。そして注目選手のほとんどがセンバツにも出場していてチェック済みであること。もうひとつは、遠藤康平(常葉菊川/内野手)、山田基樹(日川/投手)らの注目選手は大学進学を希望しており、その他の注目選手はほとんどが2年生であることだ。そんな中、全スカウトの評価が一致したのが森友哉(大阪桐蔭/捕手)。文句なしの1位候補だ。

「ミート力が抜群。スイングスピードが速いうえに形もよくて、タイミングの取り方もうまい。木のバットでも確実に打てるね」(パ・リーグスカウト)

「バッティングは高橋周平(中日)、大谷翔平(日本ハム)レベル。大学、社会人を含め、今年のアマチュアナンバーワン。(初戦の日本文理戦で)2発打ったことで、1位で競合する可能性が出てきた」(セ・リーグスカウト)

 ただし、捕手としてはこんな意見があった。

「ウチはサードで見ている。キャッチャーは細かい練習の反復で大変だし、時間がかかる。ファームで何年もやる選手じゃないし、サードですぐに試合に使った方がいい」(パ・リーグスカウト)

 いずれにしても、打撃はすぐにでも一軍デビュー可能と多くのスカウトが絶賛した。

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