吉井理人が語る「なぜ2年目のジンクスが起きるのか?」

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

昨年、高卒ルーキーながら8勝を挙げた武田翔太だが、今季はここまで2勝と苦しんでいる。昨年、高卒ルーキーながら8勝を挙げた武田翔太だが、今季はここまで2勝と苦しんでいる。 大谷翔平、藤浪晋太郎、菅野智之を筆頭に、今シーズンはルーキーたちの活躍が目立っています。その一方で、昨年高卒ルーキーながら活躍した釜田佳直(楽天)、武田翔太(ソフトバンク)や、昨年ブレイクして14勝を挙げた吉川光夫(日本ハム)も昨年のようなピッチングができず苦しんでいます。野球界ではよく「2年目のジンクス」と呼ばれていますが、なぜそのようなことが起こってしまうのか。

 かつては、活躍するとその年のオフは取材やイベントなど多忙なスケジュールを強いられ、その結果、疲労回復する時間がなかったり、練習する時間がなかったりすることが原因だと言われていました。でも、それは昔の話であって、今はそこまできついスケジュールを組むこともなくなっていますし、選手たちは本当によく練習をしています。

 ただ、ひとつ気になっているのは、あくまで投手の話ですが、投げてほしい時に休んで、投げなくていい時にたくさん投げる選手が結構いることです。投げてほしい時というのは、実はオフの時期なのですが、そのオフに「肩を休める=投げない」という考えの選手が意外に多いんです。そういう私も、現役時代はオフになると1年の疲れをとることを目的に温泉に行ったりしていました。でも、投げない時期を作ってしまうことで、これまでの感覚を失ってしまうことがあるんです。そのあたり、釜田にしても武田にしても初めてのオフをどのように過ごしたのか気になります。

 投手というのは繊細な生き物で、一度失った感覚を取り戻すのに相当な時間を必要とします。その感覚を少しでも早く取り戻そうとして、キャンプ初日から100球を超える投げ込みをする。でも、フォームも固まっていない段階でいくら投げ込みをしても、いい球がいくはずがないんです。これはシーズンに入ってからもそうで、調子が上がらないとすぐブルペンに入って投げ込みをする選手がいるのですが、調子の悪い時に投げ込んでも、フォームを崩すだけでいいことはない。

 その点、日本ハム時代のダルビッシュは、調子が悪いとすぐにブルペンを出て、外でキャッチボールをしていました。キャッチボールは体を大きく使いますし、体のバランスを整えやすいんです。あの時は「さすがダルビッシュ!」と思いましたね。

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