11年連続Aクラスの中日はなぜ勝てなくなってしまったのか?

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

右ひじの故障で戦線離脱を余儀なくされたエースの吉見一起右ひじの故障で戦線離脱を余儀なくされたエースの吉見一起 11年連続Aクラス入りという抜群の安定感を示してきた中日が開幕から苦しんでいる。5月20日時点で20勝25敗と5つの負け越しを喫しており、首位を走る巨人とは早くも8.5ゲームの差がついてしまった。こんな状況を開幕前に予想した人は少ないだろう。

「投手陣にあれだけ故障者が出てしまうと苦しい。中日の強さの象徴であったリリーフ陣がつぎつぎに戦線離脱して弱体化してしまうと、こういう状況になるのもしかたないかなと思いますね」

 こう分析するのは評論家の金村義明氏だ。確かに、浅尾拓也が開幕メンバーから外れ、シーズンに入ってからも山井大介がWBC使用球への対応に苦しんだ後遺症でコントロールが定まらず二軍落ち。2年目の田島慎二も登板過多が影響したのか、5月になって離脱を余儀なくされた。リリーフだけでなく、エースの吉見一起もヒジの故障が重く、登録を抹消して手術も視野に入れている。投手陣がここ数年で一番危機的な状況にあるのは確かだ。

「投手陣全体の形ができていないですよね」

 評論家の牛島和彦氏はいう。

「先発が苦しいときはリリーフが、リリーフが不調の時は先発が支える。役割がはっきりしていればそれができるんですが、今はリリーフが絶対的に足りていない。それで先発はどうしても長く投げなければ、自分がやらなければと重圧がかかってしまう。そこに吉見の離脱ですからよけいに厳しくなっている」

 先発陣では新戦力のカブレラ、ブラッドリーはそれなりの働きを見せているが、日本人投手ではこれといって軸になりそうな駒がいないのが現状だ。

「去年、2ケタ勝った山内(壮馬)にしても、シーズン終盤に勝ち星をあげた大野(雄大)にしても、まだまだ成長途上で今年は一段飛躍しなければならない年。だから、本当ならある程度気が楽なところで投げて勝ちを重ね、自信をつけてもらいたいのに、どうしても負けられない、落とせないという試合での登板が多くなっている。リリーフに駒が揃えば、彼らもイニングなど意識せずに思い切って投げられると思うのですが......」(牛島氏)

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