「未完の大器」がついに開花?今年の菊池雄星はココが違う!

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

高校時代の輝きを取り戻しつつあるプロ4年目の菊池雄星高校時代の輝きを取り戻しつつあるプロ4年目の菊池雄星「3年間、期待に応えていないので、今年は『4度目の正直』でふたケタ勝てるようにしたい」

 3月30日、今季初登板の日本ハム戦で勝利した菊池雄星は、本拠地の西武ドームでギラついた欲望を露(あらわ)にした。4月17日時点でまだ3試合に先発した段階だが、勝利数2、防御率0.44はともにリーグトップ。伸びのあるストレートは球速140~150キロ台を計測し、明らかに昨季までと違う姿で躍動している。

 花巻東高校時代に155キロのストレートで甲子園を沸かせ、2009年のドラフト会議で6球団から1位指名を受けた左腕は、今年、何が変わったのか。渡辺久信監督に問いかけてみると、指揮官は次々と言葉を重ねていった。

「すべての部分でようやくプロらしくなってきたよね。今年はマウンドでの佇(たたず)まい、所作に落ち着きがある。そして変なことを考えず、集中してバッターと向かい合っている。また、真っすぐはもちろんだけど、勝負できる球種が増えたね」

 今季の菊池は、ストレートやスライダーに加え、カーブとチェンジアップも勝負球として使うようになった。中でも投球の幅を広げているのが、チェンジアップだ。オープン戦ではあまり投げなかったものの、開幕1週間前、ブルペンで試すと好感触をつかんだ。そして初登板の日本ハム戦では、4番の中田翔を第1打席、そして第2打席と、外角のチェンジアップで空振り三振に仕留めている。

 この試合後、チェンジアップの効果について菊池はこう話した。

「相手のデータにも多くないでしょうからね。厳しい場面でチェンジアップを投げることで、少しずつ自信になっていくと思います」

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