【プロ野球】大谷翔平はなぜ「二刀流」に心を揺さぶられたのか?

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 日刊スポーツ●写真 photo by Nikkan sports

12月9日に日本ハムへの入団を決め、栗山監督と握手を交わす大谷翔平12月9日に日本ハムへの入団を決め、栗山監督と握手を交わす大谷翔平 ようやく花巻東・大谷翔平の"進路"が決まった。1度はメジャーへの挑戦を表明しながら、ドラフト1位指名を受けた北海道日本ハムファイターズ入団へと翻意(ほんい)した。

 12月9日の会見で大谷は、能面のように表情を変えず、謝罪の言葉を並べた。

「(花巻東の佐々木洋)監督さん、日本球界、そしてメジャー球団の方々にご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。メジャーを表明したのも、3年間、自分を見続けてきてくださった方がいたから。そういう方々のためにも、今後はファイターズの一員として子どもたちの憧れる選手になりたい」

 今夏の岩手県大会決勝で敗れてからの5カ月、大谷は揺れる胸中をその都度、明かしてきた。プロに進むのか、それともアマチュアの大学・社会人のいずれかに進むのか。また、高校生史上最速となる160キロを記録した投手として挑むのか、あるいは高校通算56本塁打を放った打者に専念するのか。さらに、舞台は日本か、それともアメリカか......。

 大谷が初めて進路について具体的に言及したのは8月下旬、「IBAF 18U世界選手権」に臨む高校日本代表の国内合宿最終日だった。

「一度、ピッチャーをあきらめてしまうと、二度と後戻りできない。だから現段階では、ピッチャーの体作りをしている。投手として挑戦するか、野手として挑戦するかは、決めていません。球団の方の意見を参考にしながら、考えていきたい」

 つまり、入団する球団の意向によっては、打者に専念する考えがあることを明かしたのだ。しかし、世界選手権が終わると「投手一本」に気持ちが固まる。同級生で常に双璧として比較されてきた大阪桐蔭の藤浪晋太郎と同じユニフォームを着、世界を相手に戦うことで、大谷は投手として矜恃(きょうじ)や野心といったものが刺激された様子だった。

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