【プロ野球】2012ドラフト。隠れた「勝ち組」はロッテとオリックス (2ページ目)
メジャー挑戦を表明した大谷翔平を強行指名するなど、今年のドラフトも話題を提供した日本ハム 4球団による競合の末、藤浪晋太郎の交渉権を獲得した阪神。1位指名の選手を抽選で引き当てたのは28年ぶりだった この藤浪のように、チームを大きく変える可能性を持った選手の獲得合戦もドラフトの醍醐味だが、一方で、現段階での注目度は低くても将来のチーム作りに欠かすことのできない選手をどれだけ獲得できたのかという視点で見るのもドラフトの楽しみ方だ。そこで今回のドラフトでいい補強ができたチームはどこなのか。再び安倍氏に聞いた。
「指名した人数こそ少ないロッテですが、即戦力と将来性のバランスを考えた見事なドラフトだったと思います。藤浪のはずれ1位で指名した松永昂大(大阪ガス)ですが、社会人屈指の左腕投手でリリーフとしての適性がすごく高い選手だと思います。ロッテはリリーフに課題があったので、松永の加入によって劇的に変わるかもしれません。同じく左腕投手で2位指名の川満寛弥(九州共立大)は、数年後はローテーションの軸になるかもしれない。間違いなく今年から活躍できる力を持った投手。また、3位の田村龍弘(光星学院)はバッティングも魅力ですが、明るいキャラクターも大きな戦力になると思っています。そして4位の加藤翔平(上武大)は荒削りだけど、足と肩は一級品。パワーもあるし、上手く育てば将来クリーンアップを打つ選手になるかもしれません」
そして安倍氏がもうひとつ挙げたチームは、意外にも1位指名で藤浪を外し、外れ1位でも松永の獲得に失敗したオリックスだった。その理由はこうだ。
「1位でふたりを外したとはいえ、左腕の松葉貴大(大阪体育大)はリリーフとして面白い存在になるような気がします。2位の本格派右腕・佐藤峻一(道都大)もボールに力があり、スプリットもよく落ちる。球種は多くないだけに、先発よりもリリーフでの起用が面白いと思います。クローザーとしての適性は十分にある投手ですね。平野佳寿、岸田護という球界を代表するリリーフ陣を持つオリックスですが、このふたりが加わればさらに強固なリリーフ陣が形成できる。そしてオリックスにとって何よりも大きいのが、伏見寅威(東海大)を3位で指名できたことです。間違いなく今年のドラフトでナンバーワン捕手。外れ1位で指名する球団もあるのではないかと思っていたぐらいです。いい意味で、伏見はキャッチャーしかできない選手。それぐらい気配り、目配りのできる捕手で、人間的にも素晴らしい。オリックスというより、球界のリーダーになれる存在だと思っています。彼を獲っただけでも大成功といえます」
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