【プロ野球】谷繁の誤算。
巨人の日本シリーズ進出を決めた伏兵たちの実力

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 荒川祐史●写真 photo by Arakawa Yuji

3連敗からの3連勝で中日を下し、3年ぶりの日本シリーズ進出を決めた巨人3連敗からの3連勝で中日を下し、3年ぶりの日本シリーズ進出を決めた巨人 セ・リーグ、クライマックス・シリーズ(CS)ファイナル。シーズン2位のドラゴンズが3連勝で王手をかけながらも、あと1つを奪うことができず3連敗を喫し、ジャイアンツの3年ぶりの日本シリーズ進出が決まった。

 CS前、劣勢が予想されていたドラゴンズだが、首位打者、打点王の二冠に輝いた4番の阿部慎之助を封じることができれば、勝機もあるだろうと見られていた。シーズン中、阿部が打点を挙げた試合の勝率は8割9分1厘。とにかく阿部を抑えることが、ドラゴンズバッテリーに課せられた最大の使命だった。

 結果からいえば、ドラゴンズバッテリーは阿部をよく抑えた。22打数6安打、打率.273、打点2。本塁打は1本も打たれなかった。それだけではない。阿部と並んで今シーズン3割をマークし、ジャイアンツ打線の中核をなす長野久義、坂本勇人のふたりにも決定的な仕事をさせなかった。ともに本塁打は許さず、坂本に対しては第5戦、第6戦と無安打に封じた。

 ジャイアンツ打線の中核は抑えたのに、なぜドラゴンズは敗れたのか。その理由が第6戦の2回裏にはっきりと見えた。5番・高橋由伸、6番・村田修一のふたりがシングルヒットでチャンスを作り、7番の古城茂幸が広げて、8番の寺内崇幸の2点タイムリーでジャイアンツが2点を先制。試合の流れを作った。

「みんなが必死につないでくれた場面だったので、何とかバットに当てたかった。冷静さと積極性を持って打席に入りました」

 試合後、寺内はそう語ったが、CSファイナル2度目の先発の8番打者がタイムリーを打つあたりにジャイアンツの選手層の厚みを感じた。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る