【プロ野球】WBCまで半年。日本だけが監督を決められない理由 (2ページ目)
川上監督のように、現場を離れてまもなく40年という人に指揮を執ってもらうというのはいかにも現実的ではないとすれば、第四の条件をこうしてみる――『現場を離れて10年を越えない人』。
すると、2003年以降、監督として采配をふるっていた候補者は8人に絞られる。それが以下の面々だ。落合博満、伊東勤、王貞治、伊原春樹、梨田昌孝、若松勉、野村克也、山本浩二(敬称略)。
落合さんも野村さんも、そして山本浩二さんもこうやって絞り込んだリストの中にちゃんと名前が残るのだから、ある意味、巷(ちまた)に飛び交っている名前は根拠がないわけではないと思い知らされる。それでもそれぞれに何らかの事情があって、満場一致で押せる人はなかなか見つからない。
とはいえ、こうしてある程度のわかりきった条件を設定してみれば、この程度のリストは簡単に作ることができる。にもかかわらず、直近の"侍ジャパン"の監督には「前年度の日本シリーズ優勝監督だから」という理由で、現役監督を選んだ。今年の3月10日、台湾代表を招いて行なった"侍ジャパン"の復興支援試合で日本代表の指揮を執ったのは、2011年の日本シリーズを制したホークスの秋山幸二監督。この条件が生きているのなら、WBCも秋山監督で決まりのはずなのに、突如として、『現役監督は負担が大きすぎるから外す』という条件が囁かれている。ならば、3月の時点で秋山監督は選ぶべきではなかったし、選んだのならWBCまでを言い含めて引き受けてもらうべきだった。それができなかったのなら、3月の台湾戦から、第四の条件をクリアした8人の中から監督を決めればよかったのだ。
そうすれば、今シーズンいっぱいをかけてその代表監督が12球団の試合を視察し、選手の状態や適性を把握することが可能だったろうし、必要があればアメリカへも渡って日本人メジャーリーガー、あるいはマイナーリーグでプレイする日本人選手の現状にも目を配ることができたに違いない。そうした活動ができていれば、先の12球団代表者会議で決まったように、WBCに向けた12球団の監督アンケートなど行なわなくても済んだ。すべてが後手に回って場当たり的な対応しかできずにいるのは、結局は問題を先送りしてきたツケに過ぎない。
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