【プロ野球】オリックスのリリーフ陣を支える「ミスター・コンスタント」平野佳寿

  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

一昨年、昨年と防御率1点台をマークした平野佳寿一昨年、昨年と防御率1点台をマークした平野佳寿安倍昌彦の投魂受けて~第28回 平野佳寿(オリックス) 

 平野佳寿(オリックス)が京都産業大の4年生の6月。関西六大学の春のリーグ戦を制して大学選手権出場を果たした京都産業大は、神宮球場での1回戦に臨もうとしていた。

 試合前の三塁側ブルペン。エース・平野のピッチング練習が続く。ネット裏から遠目に見てもわかる、素晴らしいスピードと伸び。どうしても近くで見たくなり、席を移った。目に入ったら迷惑だろうから、ネットをはさんで彼が投げている少し後ろから見ることにした。

 プチッ、プチッ......。最初は耳の錯覚かと思った。プチッ......プチッ。いや、確かに聞こえてくるぞ。腕を振って、ボールを離す最後の、最後の一瞬。指先でボールの縫い目を弾く音がかすかに聞こえていた。

 この話を平野にすると、「ほんまですか。いやぁ、自分で聞いたことあれへんさかい......」と柔らかな京都弁が返ってきた。その響きは、今でも私の耳の奥に残っている。古都で生まれ、古都で育った快腕。当時、12球団がマークしたバリバリのドラフト1位候補だった。

「僕はセット(ポジション)で投げるんですが、セットからやと軸足で正しく立てているのかどうか、自分で確認できるんです」

 話は、実に理路整然としていた。

 コンスタント――「古都の快腕」に抱いていた私のイメージ。勝手に「ミスター・コンスタント」と呼んでいた。投げればいつも完投で、しょっちゅう完封。四死球ゼロなんて当たり前。大学時代の平野は、そんな学生野球生活を送っていた。

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