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【高校野球】ついに160キロ!
「怪物」続々誕生にダルビッシュ有の陰 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

 大阪桐蔭でも06年から理学療法士を招いている。きっかけは、当時、右ひじを痛めていた中田翔(日本ハム)のリハビリのためだったが、今では選手の体のケアからトレーニングの指導まで、チームになくてはならない存在になっている。

「もちろん、僕たちも自分なりにトレーニングの勉強をして指導していましたが、やはり専門家の指導はまったく違います。腹筋を鍛えるにしても、どの部分をどれだけ鍛えるのか、というように細分化します。少し大げさかもしれませんが、これまではプロでしかやらなかったレベルのトレーニングが、高校野球の世界にも広まってきたという感覚です」

 併せて、近年の高校生の気質の変化も指摘した。

「今の高校生たちは、トレーニングひとつにしても自分のために役立つのなら積極的にやりますが、逆にそう思えないと続かない。だから、漠然と『腹筋100回やれ』というより、『140キロを投げるためには、この部分をこれだけ鍛えないといけない』と具体的に指導した方が効果的なんです」

 そしてここ数年、高校野球の取材をしていると、技術やトレーニングについて積極的に語る選手が増えた。語るということは、それだけ学んでいるということ。花巻東高時代の菊池雄星(西武)も読書家として知られていたが、技術だけでなくメンタルに関する本も読み込んでいた。また、体の仕組みや使い方に関する本を愛読書にしていたという武田も同様だ。

 話を続けていると、西谷監督の口から「ダルビッシュ有(レンジャーズ)」の名前が出た。

「今の高校生のピッチャーにとって憧れの存在ですから、いろんな意味でダルビッシュ投手の影響は大きいと思います。ダルビッシュ投手がこういう意識でこれだけトレーニングしているのだと知ると、トレーニングに対する考えや意識も変わってきます。影響力のある人の取り組み方や発言は、高校生にとっては絶大ですからね」

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