【プロ野球】若手台頭でカープ15年ぶりAクラスが見えてきた

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Nikkan sports

成長著しい入団3年目の堂林翔太成長著しい入団3年目の堂林翔太 5月29日には最大11あった借金を7月16日に完済。野村謙二郎監督も前半戦を振り返り、「借金があれだけあったのに5割に戻せたことで選手も手応えを感じているんじゃないか」と総括した。はたして、15年ぶりAクラスターンとなったこの勢いは本物なのか。

 93年の現役引退から昨年まで、コーチ、二軍監督を務めていた山崎隆造氏は、「この時期に話題にしてもらえるのはいつ以来かと考えましたよ」と軽く笑うと"強さ"の秘密を分析した。

「大竹(寛)の復活と新人・野村(祐輔)の働きはもちろん大きいですけど、前田(健太)を筆頭に先発陣の安定はある意味で戦前の予想通り。でも、前半戦は野手の援護がなくて勝ちが続かなかったのが、交流戦あたりから投打の歯車が噛み合い始めた。そこには文字通り"ケガの功名"の部分がありましたね」

 振り返れば、打線の軸に据えていた栗原健太が右ヒジ手術のため4月末に戦列を離脱し、6月には東出輝裕が右手中指末節骨折。また、本塁打、打点でチーム二冠だったニックも左膝の前十字靱帯損傷、内側半月板損傷で長期離脱。昨年途中加入し、今シーズン期待が大きかったバーデンまで右ひじの痛みで戦力に加われずにいる。もともと得点能力が低いと言われていたところに、主軸に故障者が続出。ところが「この苦境がチームにプラスを生んだ」と山崎氏は言う。

「今の打線を見て下さい。1番天谷(宗一郎)、2番菊池(涼介)、3番梵(英心)、4番岩本(貴裕)、5番・堂林(翔太)......。とにかく若いし、この若さが野手陣の方からも勢いを生んできた。今のとこはこの若さの良い面が出て、チームが乗ってきました」

 ちなみに開幕時のオーダーはこうだった。東出、梵、ニック、栗原、松山(竜平)、廣瀬(純)、堂林、石原(慶幸)と、顔ぶれはかなり違う。彼らに変わり、いま試合に出ている選手たちは出番を競っている状態だ。

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