【プロ野球】「育てながら勝つ」。前期優勝、高津臣吾監督の次なる目標

  • 大田誠(テレビ朝日 Get SPORTS取材班)●文 text by Ohta Makoto(tv asahi Get SPORTS crew)

 BCリーグ上信越地区で前期優勝を飾り、選手たちから胴上げされる高津臣吾監督BCリーグ上信越地区で前期優勝を飾り、選手たちから胴上げされる高津臣吾監督  プロ野球独立リーグ、BCリーグ上信越地区で新潟アルビレックスベースボールクラブが前期優勝を決めた。今シーズン、選手兼任監督としてチームを率いる高津臣吾は、これまで何度も胴上げ投手を経験してきたが、意外にも自らが宙に舞ったのは初めてだった。

「長く野球をやってきましたけど、(胴上げされるのは)初体験なので、こういう経験をしっかりと味わおうと思ってベンチで待ってました」と、野球人生で初めての体験を笑顔で振り返った。

 高津が監督に就任し、最初に取り組んだことは、伸び伸びと野球ができる環境作りだった。これには、高校、大学時代の経験が大きく影響している。

「高校、大学の厳しい練習の中、どうやったら監督に怒られないか、どうやったら先輩に受けるかということばかり考えていた」

 自らが厳しい環境で野球をやってきたからこそ、選手には伸び伸びと野球をやらせてあげたい。萎縮せず、ミスを恐れないことで、より力が発揮できると考えているのだ。さらには、メジャーリーグでの経験も、少なからず影響しているのではと感じる。ただ、名球会にまで名を連ねる高津が、若い選手たちに、そこまで必要なのかと思うくらいの気遣いを見せる姿には、正直、驚かされた。

 前期、チームトップの7勝を挙げている阿部拳斗は、「『自分たちが狙っていることは、思い切りやってもらって構わない。それでミスしても何も言わない』と言ってくれるので、打者も投手も思い切りできますし、選手としてはやり易いです」と言う。途中で、高津監督から「調子にのるなよ~」のツッコミが入る中、活躍できた一番の要因を"環境"だと語った。

 しかし、ただやり易い環境を作るだけでは、選手の成長は望めない。そこで、高津が選手たちに伝え続けたことが、「1球バットを振って勉強、1球投げて勉強。全てにヒントがある。だから、まずは自分で考えて、考え抜いた結果、それでも解らない時には、聞きにきなさい」ということだった。

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