【プロ野球】笑顔のバースデー勝利。斎藤佑樹が描く「最強の24歳」とは? (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Nikkan sports

 そして、斎藤である。

 恐るべきは、その言葉を発する力だ。お立ち台に立って、発した言葉がこれだ。

「最強の24歳になります」――。

 いったい、頭の中のどこをどうつつけば、こんな気の効いた言葉が出てくるのだろう。

「開幕投手を言われてから、そうあるべきだと思っていました。(開幕投手への)期待値というのは、いちばん高いはずなので……」

 最強の定義。

 斎藤は、それを「未知数であること」だと言った。

「自分の力は未知数だと思いますね。他のどのピッチャーよりも未知数だと思います」

 思えば、斎藤がこんな話をしていたことがある。

「今では7回2失点でも物足りないという意識になってきました。できるはずなのにそれができないと、まだまだ未熟なのかなと思います。本当はもっと飛べるはずなのに、勝手に自分で天井の高さを決めちゃっていた。今は、天井がいい感じで見えなくなってきましたね」

 天井が見えない。

 未知数の魅力。

 斎藤は、神宮で早々に代えられた悔しさを、こう考えることでプラスに捉えていた。

「去年、野球ができなくてくさりかけていた気持ちを思えば、今は悔しい気持ちと投げられる喜びが、めちゃくちゃあります」

 勝つも負けるも、野球。

 喜びも悔しさも、投げられるからこそ。

 最強だった18歳が最強の24歳になるために、斎藤佑樹は天井が見えないところで、めいっぱい跳ぼうとしている。


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