【プロ野球】最下位巨人にいま必要なのは「守護神・澤村」という劇薬 (2ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • photo by Nikkan sports

 山田氏が指摘するように、ジャイアンツの打者、特に打点を期待される中心打者は初球からどんな球にも手を出し、ボールになる変化球に引っかかって凡打というパターンが多く見かけられる。4月21日のヤクルト戦では、昨年の首位打者・長野久義が一死満塁で増渕竜義のボールになるシンカーに3球続けて空振りという場面があった。長野の持っている能力からすると考えにくいような空振りも、勝ちパターンのないことへの不安、とにかく1点でも多く取らなければというあせりと考えれば合点がいく。

 では、カンフル剤はないのか。打線はだいたいの手は打ち尽くしたように見えるが......。そこで山田氏は提案する。

「澤村(拓一)のクローザー起用ですよ」

 近い将来、巨人のエースになると言われている澤村の抑えは大胆すぎるようにも思える。

「それぐらい大きな変化をつけないと、チームは変わらない。杉内(俊哉)、ホールトンという先発を2枚も獲得したのは先発の層を厚くするため。それは成功した。だからあとはうしろを固めること。それには澤村のクローザーが最善策だ。澤村は球に力があるし、三振が奪える。ペース配分を考えなくてもいいクローザーならもっと球威が増すだろう。西村をセットアッパーに回し、山口(鉄也)とふたりで7回、8回をカバーし、最後は澤村で締める。そういう勝ちパターンが確立されれば、打者もリラックスして打席に入ることができるはずです」

 そしてもうひとつ、大切なのは守りだと山田氏は言う。

「今年はエラーが多く、そこから失点につながるケースが目立つ。場合によっては少々バッティングに目をつぶってでも、守りの安定した選手を起用することも必要だと思います」

 本来は地力のあるチームだけに、投手と守備が固まれば普段の戦いができるというのが山田氏の見立てだ。

「打てないときこそ守りを」という指摘、打線の上昇に淡い期待を託す首脳陣も耳を傾けるべき意見ではないだろうか。

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