【大学野球】東京六大学開幕。
甲子園を沸かせた1年生の活躍に注目!

  • 佐伯要●文 text by Saeki Kaname
  • photo by Nikkan sports

早稲田大に進学した昨年の甲子園優勝投手・吉永健太朗早稲田大に進学した昨年の甲子園優勝投手・吉永健太朗 4月14日、東京六大学野球の春季リーグ戦が開幕する。昨年のドラフトで明治大・野村祐輔(現・広島)や慶應義塾大・伊藤隼太(現・阪神)らをプロへ送り出した同リーグだが、今春は1年生の逸材たちが神宮球場を沸かせてくれそうだ。

 まず注目すべきは、昨年の夏、10年ぶりに甲子園を制した日大三のメンバーだ。全6試合で81安打、61得点の猛打とわずか2失策の堅守という圧倒的な強さを見せ、一昨年の明治神宮大会、さらに昨秋の山口国体でも優勝して高校三冠に輝いた。その日大三から5人が、東京六大学リーグの5つの大学に分かれて進学した。

 エース右腕・吉永健太朗は、早稲田大へ進んだ。最速149キロの直球とスライダー、シンカーを武器に甲子園では全6試合に登板して5完投(うち2完封)勝利。昨夏のアジアAAA日本代表でもエースとして金メダル獲得に貢献した。吉永を評して、あるスカウトは言う。

「プロ志望届を出していれば、間違いなく1位指名された素材。大学生相手では壁にぶつかることもないだろうから、自分で課題を見つけて成長してほしい」

 その吉永に与えられた背番号は「16」。同じ甲子園優勝投手で、大学通算31勝を挙げた斎藤佑樹(現・北海道日本ハム)が1年生の時に背負っていた番号だ。吉永は「神宮のマウンドは(都大会などで)慣れているけど、WASEDAのユニフォームを着て投げるとなると、やはり違った気持ちになる。期待されていると思うので、それに応えられるようなプレイをしたい」と意気込んでいる。

 3番打者として勝負強い打撃でチームを牽引し、アジアAAA日本代表でも主将を務めた畔上翔(あぜがみ・しょう)は法政大へ。法政大・金光興二監督は「自分で考えて、とにかくよく練習する。将来的には主軸を打てる能力がある」と期待を寄せている。畔上は「東京六大学というトップレベルの舞台でプレイできるのは楽しみ。でも結果を出さなければいけないプレッシャーもある。それを経て、いい選手になりたい」と気持ちを引き締めている。

 4番を打ち、豪快なフルスイングで高校通算58本塁打を放った横尾俊建は、慶應ボーイとなった。「KEIOのユニフォームを着て、鏡を見て、かっこいいと思った」と屈託のない笑顔を見せながら、「とにかく強く振るだけ。頑張ってレギュラーになり、リーグ戦で優勝したい」と抱負を語る。慶大を率いる江藤省三監督は、「初球からストライクを積極的にフルスイングするのはたいしたもの。話題づくりのためにいきなり開幕スタメンで使うようなことはしないが、ベンチには入れる。オープン戦でも結果を出しているから、誰もが彼のベンチ入りを認めていますよ」と横尾を評価している。

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