【プロ野球】急成長右腕、巨人・宮國椋丞のローテーション入りはあるか? (2ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 青山浩次●写真 photo by Aoyama Koji

 とにかくそのセンスのよさを壊さないために、1年目は無理をさせなかったという。

「体はまだまだ子どもでした。1試合いいピッチングができたとしても、1シーズン通してローテーションを守っていけるような体にはなっていませんでした。だから小手先の技術をあれこれ教えるよりは、まずローテーション投手に必要な体を作ることを考えて練習させました。1カ月、3カ月、半年と時間を区切り、その中で目標を設定してやった成果がだいぶ現れてきたんじゃないかな。体は徐々にできつつあるから、あとは経験をどう積んでいくかだね」

 宮國は沖縄の出身。沖縄出身の選手はすばらしい素質を持っていても、どこかのんびりした島人(しまんちゅ)気質が抜けず、それが大成の妨げになるといわれることがある。だが、宮國にはそうした心配は無用だと、小谷氏は言う。

「自分からどんどん練習をやるタイプ。むしろこっちがブレーキをかけてあげないといけないぐらい。性格はおっとりしたところもありますが、野球に関しては前向きで、その点はまったく心配していません」

 持ち球はストレートにスライダー、カーブ、フォーク。ストレートの球速はまだ目を見張るほどのものはないが、球持ちがいいので、打者が差し込まれる場面をよく見る。変化球でも簡単にストライクが取れ、若い投手にありがちな四球での自滅の不安が少ない。フォークの落差も十分だ。

 あとは、小谷氏が指摘する体力と経験をどのようにしてつけていくかが問題になっていくだろう。だからこそ、首脳陣がどういう起用をしていくのかが気になるところだ。ジャイアンツの先発は、内海哲也、澤村、杉内俊哉、ホールトンの4人はほぼ決まり。あとの2枠をゴンザレス、東野峻、西村健太朗、そして宮國の4人が争うことになりそうだ。

 もちろん実績では先輩たちに劣る宮國だが、このままオープン戦で好投を続ければ、一軍ローテーション入りもあるかもしれない。しかし、高卒2年目という若さを考えれば、先発陣が充実している間は無理をさせず、じっくりファームで経験を積ませるという手もある。ルックスもよく、ファンからの注目度も高い宮國は、球団としても絶対に活躍してほしい選手。それだけに原監督がどんな判断を下すのか注目したい。

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