【プロ野球】最下位脱出へ、実力派ルーキートリオがロッテ投手陣を救う!

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • photo by Nikkan sports

安定感ある投球で首脳陣から高い評価を受けている益田直也安定感ある投球で首脳陣から高い評価を受けている益田直也 2010年の日本一から一転して、昨シーズンは最下位に甘んじてしまったマリーンズ。ライオンズ中村剛也ひとりの本塁打数を下回った打線の強化が最大のテーマだろうが、投手陣は生きのいい若手の加入で確実な戦力アップが期待できる。

 ドラフト1位で指名されて嬉し涙を流し、かつての「不人気ロッテ」時代を知るOBを感激させた東洋大出身の藤岡貴裕は、キャンプでも順調な仕上がりを見せ、大学ナンバーワン左腕という前評判にたがわぬ投球を続けている。

 キャンプ中盤から実戦的な投球を開始した藤岡だったが、その投球見たさに石垣島に駆けつけた評論家、他球団のスコアラーたちをうならせた。

 藤岡を見てまず目につくのはそのがっちりした体つき。最近はウエイトトレーニングの成果で、上半身の発達した若手投手は少なくないが、藤岡は下半身の充実ぶりが際立っている。担当記者によると、出身の東洋大野球部はウエイトトレーニングをほとんど行なわず、ランニングと投げ込みで体を作ることを奨励(しょうれい)していたようで、藤岡もそうしたトラディショナルな鍛え方で体を作り上げた。

 テークバックが小さく、ボールの出所が見えにくい投球フォームは一見すると力感が無いようにも思えるが、球速は十分で、そのギャップは大きな武器になる。

 藤岡の投球を見た野球評論家の橋本清氏は、「10球見ただけでいい投手だとわかった」と藤岡を絶賛する。

「フォームがコンパクトにまとまっていて、そこからピュッという感じでボールが出てくる。左右の違いはあるが、入団当時のジャイアンツ上原浩治(現レンジャース)を思い出しました。マリーンズでいうと、エースの成瀬善久の球速を一段アップさせた感じかな。キャンプで見た新人投手の中ではものが違う印象でした」

 マリーンズは唐川侑己、渡辺俊介、小野晋吾、ペンに新入団のグライシンガーと右の先発の駒は揃っている。しかし、左で先発を任せられるのは成瀬ぐらいで、藤岡が1シーズン先発ローテーションに加わって投げることができれば、チームにとっても大きいし、藤岡自身の新人王も見えてくる。

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