今季の佐々木朗希は「過去4年とは別人」 ロッテOB清水直行が指摘する「規定投球回到達が最優先のピッチング」とは? (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【今季の佐々木の課題】

――なぜ、そうなってしまっているのでしょうか?

清水 今季からスライダーを多投していることが関係しているかもしれません。縦ぎみに変化させるスライダーも投げていますが、縦の変化(フォークボール)を主体としてきたピッチャーが、それまであまり多くなかった横の変化の軌道をイメージすると、体が早く開いてしまうのかなと。

――ボールの見やすさに関わるとなれば、体の開きは直したほうがいい?

清水 あれだけのボールを投げていてもバッターに見切られているので、直したほうがいいと思います。ベンチから見ている小野晋吾投手コーチがどう感じているかわかりませんし、実際にバッターボックスに立ったわけではないのではっきりとは言えませんが、僕の見立てではやはり直したほうがいいんじゃないかと。

 投球フォームもそうですが、佐々木にとって何よりも大きな課題は「シーズンを通してローテーションを守り、規定投球回(143回)に到達すること」。今季にそれを達成したら、それを何年続けられるのか。結局、先発としての評価はそこです。それを果たすためには、やはりピッチングを覚えていかなければいけないと思います。

――具体的に、どんなことを覚えなければいけないでしょうか。

清水 真っすぐとフォークでガンガン投げていたのを、出力を落としてスライダーも交えたピッチングスタイルになり、以前のように三振を狙わなくなっています。実際に奪三振率も下がっていますしね(奪三振率9.35。昨季は13.35)。「そうしなければ体力的に1年間は投げられない」と考えて取り組んでいると思うのでいいのですが、たとえばインコースをしつこく攻める場面や、変化球などでかわす場面など、状況判断を的確にすることも必要です。
 
 また、右バッターに対しては、外一辺倒ではなくインサイドを"狙って"投げることも必要です。ここまでは、左バッターのインサイドには強い球を投げられるのですが、右バッターのインサイドにはあまり投げられていない。そこも課題だと思います。

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